December 31, 2009

『概念分析の社会学―社会的経験と人間の科学』合評会

『概念分析の社会学―社会的経験と人間の科学』合評会のご案内

このたびSTS Network Japanでは、大阪大学グローバルCOEプログラム「コンフリクトの人文学」RF「コンフリクトと価値」ほかとの共催で、『概念分析の社会学―社会的経験と人間の科学』(酒井泰斗・浦野 茂・前田泰樹・中村和生 編, ナカニシヤ出版)の合評会を行います。
同書は、エスノメソドロジーの立場から、生物学的人種や遺伝学的知識、ポルノグラフティ、化粧などの多様なトピックに、「概念分析」をキーワードにアプローチした論文集です。科学技術にかかわる問題群に、従来のSTS研究にないアプローチで分析を行う、大変、刺激的な著作です。
今回、同書の編著者から5名をお招きし、同書の合評会を行うことになりました。同書をご入手のうえ、ぜひふるってご参加ください。
(参加登録不要、参加費不要。どなたでもご参加いただけます。当日、直接、会場にお越しください。)

日時:2010年1月11日(月)13時~16時
会場:大阪大学豊中キャンパス・実践センター教育研究棟Ⅰ(旧自然科学棟)
   ・ステューデント・コモンズ2階セミナー室Ⅰ
 http://tinyurl.com/yd4y3c8(ステューデントコモンズ地図)
 http://tinyurl.com/y8hdygz(豊中キャンパス地図;41番の建物)
アクセス:阪急電車宝塚線石橋駅(特急・急行停車)下車徒歩15分 あるいは
 大阪モノレール柴原駅下車徒歩約10分
主催:
 STS Network Japan
 大阪大学グローバルCOEプログラム「コンフリクトの人文学」RF「コンフリクトと価値」
 ほか(現在、交渉中)

同書の目次は下記の通りです。詳しくは、WEBサイト
(http://socio-logic.jp/ethnomethodology2.php#toc10)をご覧ください。
なお、当日は、★の執筆者にご参加いただく予定です。

はじめに(浦野茂★)
第1章 類型から集団へ ──人種をめぐる社会と科学──(浦野茂★)
第2章 遺伝学的知識と病いの語り ──知識と経験をめぐるメンバーシップ・カテゴリー化──(前田泰樹★)
第3章 医療者の〈専門性〉と患者の〈経験〉(安藤太郎)
第4章 触法精神障害者の「責任」と「裁判を受ける権利」 ──裁判と処罰を望むのはだれなのか──(喜多加実代)
第5章 「被害」の経験と「自由」の概念のレリヴァンス(小宮友根★)
第6章 化粧と性別 ──〈素肌〉を見るやり方──(上谷香陽)
第7章 優生学の作動形式 ──永井潜の言説について──(石井幸夫)
第8章 科学社会学における「社会」概念の変遷(中村和生★)
おわりに(酒井泰斗★)

なお、本合評会の最新情報については、STS network Japanのブログ
http://stsnj.org/nj/index2.html)をご覧ください。

また前日1月10日には、奈良女子大学にて関連する以下のシンポジウムが開催されます。
シンポジウム「エスノメソドロジー研究のフロンティア──ケアと教育の現場から」
詳細は
http://d.hatena.ne.jp/contractio/20100110
をご覧ください。どなたでもご参加いただけます。また、事前登録も不要です。

December 11, 2009

第4回 STS Network Japan 関西定例研究会

第4回STS Network Japan関西定例研究会を開催いたしますので、お知らせいたします。
STSNJ関西定例研究会も今度で4回目となります。
今回は、関西学院大学の立石さんのご発表と、STSNJからの企画提案という形で議論を深めていければと考えております。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。お気軽にご参加ください。

(本案内は、ご自由にご回覧・転送ください)

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第4回 STS Network Japan 関西定例研究会


日時:12月19日(土)14時~17時30分
※(日曜日と記載されていましたが、土曜日の誤りでした。申し訳ありません)
場所:京都大学北部キャンパス農学・生命科学研究棟一階セミナー室

場所については、下記URLをご参照ください
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_n.htm


研究会の内容

1. 研究発表
「環境問題における科学・技術と市民参加――環境アセスメントの制度化過程の分析」
発表者:立石裕二氏(関西学院大学)

発表要旨
 本報告の目的は、環境アセスメントの制度化過程の分析を通して、社会的意思決定における科学・技術と市民参加の関係について考えることである。環境アセスメント(環境影響評価)とは、開発による生活・自然環境への影響を事前に調査し、評価することである。環境アセスメントが日本で制度化されていく過程の中で、科学・技術と市民参加の関係はどのように捉えられ、どのように変化してきたか。
 分析の結果、環境アセスメントの制度化の過程は、どのセクターがアセスの中心となり、どのセクターが排除されるか、をめぐるセクター間の駆け引きとして捉えることができた。そこでの「科学」や「市民参加」は一枚岩のものではなく、アセスの捉え方に応じて中身が変わるという多様性を持っていた。科学・技術と市民参加の関係を論じる際には、単純な図式(トレードオフ,相補的関係など)を安易に採るのではなく、歴史的・社会的文脈の中での多様性を踏まえた議論が必要だと考える。


2. STSNJによる提案
「東アジアSTSネットワーク構想-共通点・違いを捉えて-」
発表者:標葉隆馬(京都大学), 江間有沙(東京大学), 中川智絵(京都大学)

発表要旨
 イギリス・アメリカで始まったSTSという研究領域が、東アジア圏でも近年急速な広がりを見せている。その広がりは、2007 年にEASTS(East Asian Science, technology and society) が国際雑誌を刊行したことなどにも見ることができる。これらの動きにおいて、東アジアSTS研究は、一つのジャーナル共同体として確立しつつあると同時に、欧米における既存の理論適用を越え、東アジアSTS独自のフレームワーク構築という方向を目指している点が重要である。しかし、東アジアSTS独自のフレームワーク、ないしはその具体的な方向性や戦略がどのようなものであるのかについては、現時点では判然としていない部分も多い。東アジアSTS独自のフレームワークを構築していくための一つの方途としては、東アジア各国のSTS研究の類似点・相違点を整理し、それぞれの抱えるSTS的課題の共有という方向性が考えられる。文化的・風土的に近しい東アジアという括りだからこそ見えてくる共通のSTS的課題があるのではないだろうか。
 本発表では、最初のステップとして日本と東アジアSTSの学術誌である、科学技術社会論研究とEast Asian Science, Technology and Society: an International Journalに掲載された論文のトピックスの傾向に注目し、共通点と違いについて検討する。またその検討を通じ、今後の東アジアSTSにおける協働の方向性を検討し、(特に若手の)研究者間ネットワーク形成について議論を行いたい。