August 28, 2012

夏の学校2012:プログラム決定

プログラム
◆8月31日
15:00-15:30 集合 開会の挨拶
15:30-18:00 Brainstorming Session "What should be the contemporary topics of STS, especially in Japan?" 話題提供:森下翔
18:00 夕食

◆9月1日
8:00-9:00 朝食
9:00-10:00 関谷翔「予期形成機構としての審議会」
10:00-11:00 藤本翔一「利用化・産業化志向の技術開発計画における意思決定とフィードバックの研究 ~2000年代の宇宙開発計画、GXロケットと準天頂衛星を事例に~」
11:00-12:00 鈴木和歌奈「科学技術と希望論」
12:00-13:00 昼食
13:00-14:00 立花浩司「『専門家と市民の対話モデル』という虚像」
14:00-15:00 野澤聡「科学技術史から見たSTS―科学技術史とSTSの共存共栄を目指して」
15:00-18:00 
Reading&Discussion "Past, Present, and Future in STS"
Articles:
S. Jasanoff 2012 "Genealogies of STS", In Social Studies of Science 42(3): 435-441.
松本三和夫 2009 「セクターモデルの提唱─テクノサイエンス・リスクを捉える─」『テクノサイエンス・リスクと社会学:科学社会学の新たな展開』所収、第五章 (pp. 213-276)
K. Asdal 2012 "Contexts in Action: And the Future of the Past in STS", In Science, Technology, & human Values 37(4): pp. 379-403.
18:00- 夕食(BBQ)

◆9月2日
8:00-9:00 朝食
9:00-10:00 加瀬郁子「社会に流通する科学言説に対する科学者のふるまいの分析―『社会の中の科学者』研究設立に向けて」
10:00-11:00 標葉隆馬「災害弱者と情報弱者-3.11において我々が見落としてしまったもの」
11:00-13:00 講演 松本三和夫
13:00 まとめ・閉会のあいさつ

以上

June 26, 2012

STS Network Japan 夏の学校2012 のお知らせ

テーマ:「ミクロからの問いかけ─STSにおける問題設定を再考する」

20年あまりの間に日本のSTSはめざましい発展を遂げてきました。近年ではサイエンス・コミュニケーションやサイエンス・カフェ、リスクコミュニケーションや科学教育、生命科学や医療問題、イノベーションや科学政策といったテーマを題材に、「専門家-市民モデル」に基づく対話の在り方や「科学/技術と社会」の関係性を探る研究が豊富に蓄積されてきています。またサイエンス・カフェの爆発的な普及、コンセンサス会議の開催、各大学におけるSTS系教育プログラムの発足、専門家情報を提供するインターネット・メディアの成立などは、STSが単に大学の研究者の知に留まることなく、社会において一定の役割を担い始めている証左と言っても良いでしょう。

これらの成果はSTS分野の成熟を意味するものと捉えることができるかもしれません。しかしその一方で、これまで確立されたスキームによっては捉えきることのできない新たな問題も少なからず生じてきています。たとえば脳死臓器移植の市民参加型会議の現場で「市民に合意を目指してふるまうよう要求させられ」、「合意を目指すために個人的な発言をためらうような場の雰囲気があった」と感じた市民がいたという現実(夏の学校2005より抜粋)は、従来のSTSの多くの議論が依拠してきた「専門家-市民モデル」に対する強烈な批判を投げかけていると言えます。また昨年の東日本大震災では、多くの研究者は既存のSTSの問題提起の能力に対して無力感をおぼえたのではないかと思います。

こうした現状を踏まえ、今年の夏の学校では「ミクロからの問いかけ」と題して、「専門家と市民の対話モデル」や「科学/技術と社会の二項対立」といった既成の問題設定からは捉え切れない科学・技術・社会をめぐる諸問題をあぶり出してみたいと考えています。科学人類学者のラトゥールは、人間の実践のミクロな構築性を強調し、実践の在り方をア・プリオリに規定するようなあらゆる分析スキームを批判しました。今年の夏の学校は、めいめいが普段から取り組んでいる課題について反省することを通じて、「誰」が問題の当事者であり、「何」が本当に問題となっているのかを徹底的に吟味し、「どのように問うべきか」ということ自体を批判的に考えることを目的とします。活発な議論を通じて、単に既存の問題設定を批判することにとどまらず、STSが今後取り組むべき課題を導き出すための機会となれば幸いです。

以下に掲げるのは論点の一例です。ここで掲げる論点に囚われることなく、現代の科学技術をめぐる諸問題を鋭く抉る議論を期待します。
  • STSが取り組むべき現代的課題とは何か?STS研究者の社会的責任とはどのようなものか?『専門家』と『市民』を媒介することだけがSTS研究者の仕事なのか?STS研究者は現実を批判する力をどのようにして持ちうるのか?
  • 『専門家』とは誰か?『市民』とは誰か?『専門家』や『市民』はある問題に対して、具体的にどのように関係しているのか?STS研究者は『専門家』と『市民』をつなぐ透明な仲介者か?
  • 『科学・技術』と『社会』とは二項対立的な概念なのか?両者の境界線はどこに存在しているのか?『社会』とは何か?
  • 『双方向モデル』の対話の主体は『科学の専門家』と『市民』なのか?欠如モデルとの差異は何か?必要なのは対話なのか?何のための対話か?
  • 科学教育において教えるべき科学的知識とは何か?科学的知識を持つことによって解決される問題は何か?必要とされているのは本当に「科学的知識」なのか?科学のリテラシーとは何を指すのか?
開催日:2012年8月31日(金)~9月2日(日)
(詳しいスケジュールはプログラム作成後にお知らせします)
開催地:東京YMCA妙高高原ロッジ
〒949-2112 新潟県妙高市池の平温泉 TEL. 0255-86-2171
参加費(宿泊・3食・懇親会費すべて込み):一泊7,000円(学生), 8,500円(一般)
※宿泊されない方は参加費1000円を頂きます。

◆ 申込スケジュールなどは、下記の通りとなっております。皆様ふるってご参加ください。
  1. 発表申込受付締め切り 7月20日(金)8月3日(金)
    申し込む方は、発表テーマのタイトルと100から200字程度の要旨を一緒にお送りください。また、とりあえず資料だけほしいという方は、この日までに申込書の「プログラムを送ってください」に丸を付けて送付してください。プログラムができしだい、ご連絡いたします
  2. 発表要旨締切 8月3日(金)
    発表テーマのタイトル、当日プログラム用の400字程度の要旨と簡単な自己紹介文をご連絡ください。夏の学校のしおりに掲載させていただきます
  3. 参加申込受付締め切り 8月13日(金)
    発表のない方は、この日までにお申し込みください。また、夏の学校のしおりに掲載する簡単な自己紹介文をお送りください
◆ 申込先(原則として以下の書式をご利用の上、STS NETWORK JAPAN事務局までEメールでお願いします)
----- STS NETWORK JAPAN夏の学校参加申し込み-----
STS NETWORK JAPAN 夏の学校2012に (参加します / プログラムを送ってください)*
宿泊日 (8月31日 9月1日) ※宿泊を希望する日を選択してください
氏名(フリガナ)
性別(男・女)*
連絡先(所属先・自宅・E-mail)*
E-mailアドレス:
所属先:〒
Tel:
Fax:
自宅:〒
Tel:
Fax:
発表(する・しない)*
発表される方のみ講演題目:
自己紹介文:
*いずれかを選択してください。

March 08, 2012

総会のお知らせと研究発表会の発表者募集

STS Network Japan では、3月25日(日)に総会、研究発表会を実施するにあたりまして、研究発表会の発表者を募集いたします。研究者、学生、教員、実践家などさまざまな立場からの研究発表の申し込みをお待ちしています。

発表を希望される方は 3月17日(土)24時までに、STS Network Japanへe-mail、FAXまたは郵送により、氏名、発表題目、発表概要(300 ~ 400 字程度)をお送り下さい。発表題目および概要は、プログラムの作成にあたって利用させていただきます。

科学技術と社会にかかわる幅広いテーマでの研究発表を受け付けますが、テーマが研究会の趣旨と大きく異なる場合には、発表をお断りする場合もありますので、ご了解ください。また、不安をお持ちの場合は、事前にお気軽に事務局までご相談ください。

なお、質疑応答も含めてお一人あたり30分~40分程度を目安にお考え下さい(申し込み人数によって多少の上下が生じてしまいます。予めご了解の程、よろしくお願いいたします)。

【研究発表会・総会】
日時:2012年3月25日(日)10:00-13:00(研究発表会)、13:00-13:30(総会)
場所:東京大学駒場キャンパス 18 号館 4 階コラボレーションルーム1

【申し込み先】
事務局までお問い合わせください。

STS Network Japan 春のシンポジウムのお知らせ

STS Network Japan 春のシンポジウムの詳細が決定いたしましたので、お伝えいたします。
参加無料・事前登録不要ですので、お時間があり関心をお持ちの方は、ぜひご参加ください。
なお、シンポジウムの前には例年通り、同会場にて、研究発表会(10:00~13:00)と総会(13:00~13:30)も開催されます。こちらも是非、ご検討下さい。

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STS Network Japan
春のシンポジウムのお知らせ

日時:2012年3月25日(日)(14:00~18:00)
場所:東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム1
(参加無料・事前登録不要)


春のシンポジウム2012「科学技術社会論のルーマン」

社会学者であるルーマンは、「信頼」や「リスク」といった、科学技術社会論(STS)においても頻繁に議論される概念についての著書を著しています。また、ルーマンの思想の根幹を成している「社会システム理論」は、それ自体がひとつのシステムとなっている科学や、科学と異なるシステム(法や政治など)との界面、科学とそれを内包している社会との関係などにフォーカスを当てるSTSにとって、検討の価値があるものに思われます。さらに、ルーマンの議論と相対することで、STSが前提としているものごとについて批判的な検討をおこなうことも可能です。そこで、今回はまさにそのような作業のために、「科学技術社会論のルーマン」と題したシンポジウムを開催したいと思います。より具体的には、以下に紹介する3名の論者をお招きし、話題提供・議論喚起をおこなっていただく予定です。皆様のご参加をお待ちしております。

【論者】
★川山竜二(筑波大学)「科学システムと科学論」
ルーマンの社会システム理論、とりわけ「機能分化」と「セカンド・オーダーの観察」を用いて科学システムをいかに記述することができるだろうか。ルーマン自身も科学をひとつの機能システムとして検討しているが、ルーマン自身による科学システム記述を批判し、科学システムの別様の捉え方を提示する。

★加藤源太郎(プール学院大学)「科学技術論から市民社会論への変容:信頼概念をたどりながら」
科学技術論はいつしか市民社会論へと変容してしまった。どのような点で市民社会論に変容したと指摘できるのか、またその変容はどのようになされ、その結果としてどのような問題を生じさせているのかについて、「信頼」という概念を導きの糸として検討する。

★三上剛史(神戸大学)「ルーマンと“ディアボリックなもの”」
ルーマンが 用いる“ディアボリックなもの”と いう概念を援用しながら、近代社会学の理論前提を批判的に吟味する。とりわけ、“ディアボリックなもの”が3.11以 後のリスク社会や信頼、連帯などと、どのような関係にあるのかを示すことが主題となる。
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以上、よろしくお願いいたします。